パンクとは

パンクとは

このローリング・ストーン誌の記事を読んで、改めて自分にとってやっぱパンク・ミュージックって重要な位置を占めているよなって、気付かされた記事です。

 

「パンク」史上最高のアルバム40選

えーと、まずパンクとの出会いです。あれは中1か中2頃かな、それまで邦楽やハードロック、長渕剛、レッド・ツェッペリンなど系統なく、いろんな音楽に手を出していた中で、全く新しい感じが来ます。あれ、これはなんかこれまでのものとは違う。何が違ったか?ファッション、政治、欺瞞、アティテュード(あえて英語で)、ドラッグ、リアリティなど、これまで聞いてきた音楽とは違う、音楽以外の成分を沢山含んだ「音楽」を聴いたのです。とはいえ、そんなことは中2のガキには半分理解できてもよくわからない。あの頃はそういうことを、タバコを吸いながらとくとくと語ってくれる兄貴の様な人たちが結構いたんですね、姉貴の様な人も。そんな人が、今はこうじゃない、このバンドはニューヨークで、ロンドンで、スタイルがどーのこーの、こいつは偽物だ、これを聞け!とか語ってくれて、あー、そういうもんか!と何となくわかった気になっていたのです。

とはいえ、パンクというのはスタイルであり、生き方であり、自分自身をDEVOTIONしないと語ってはいけないジャンルの音楽なんだな、とは感じました。海辺のサーファーばっかの街でパンクファッションで街を歩く中学生というのはなかなか、パンクでした笑。でも改めて言っときます、サーファーにならなくてよかった、ユーロビートを好きと友達に合わせて言わなくてよかった、と。

あの当時は学校にも行かず、鬱々とした日々を送っていましたし、それがパンクの精神と結びつくのは簡単なことでした。ある意味、当然の出逢いといってもいいのかもしれません。荒削りのギターサウンド、3コードとF wordsの繰り返しの洗脳が、自分のリアリティと結びつくのは自然な成り行きでした。ある意味音楽は言葉や国境を越えるというのを体感していたのだと思います。フィーリングを音楽に乗せて発信したものが、遠い極東の島国の海辺の少年に届いたのは、あの当時別に不思議なことではなく、アメリカの東海岸のジャンキーの音楽や、ロンドンのアル中のつぶやきが日本の少年少女に毎晩の様に聞かれているというのも、実は不思議なことでもないのかも知れません。そういう不思議を、いろんな無駄な思考が邪魔してすご〜いことじゃん、と思ってここで文章にしていることが年を取ったということだと思います。

音楽というのは不思議で、音楽そのものだけではなく、その当時の友達の部屋、考えてたこと、感じてた肌感覚、列車の中の匂い、気温、夏の日の空気、シンナーの匂い、原宿のパンクファッションの店の匂いや緊張感、新しく買ったDr. Martinsの革の硬さ、新宿のしょんべん横丁の近くで買ったダブルのライダースを店先から竹竿みたいので下ろしてくれたお兄さんの動きとか、上野のアメ横の匂いが新宿と違うなとか、パチンコ屋で缶コーヒーを飲みながら打っているセブン台の音と動きとか、同じバンドが好きなおねえさんが、むっちゃキレイで、自分のスタイルを貫くのか、やれる方向に心を切り替えるのか?迷った末に結局、案外なにも起きなかったり。こういうファッションをしてると、よく先輩とか、よくわからん奴らに喧嘩売られるな〜。結構血だらけになってることがある、こういうのって今だとTwitterとかに流れて犯罪者扱いされるよな、でもあの頃は普通にそんなことはあったよな、今の子は大人しくなったもんだし、個人特定とかされて面倒くさいな、時代も変わったもんだとか、マックでシンナー吸ってってパトカーが何台も来た話とか、モスバーガーで店員の対応が悪くて店のガラス割った話とか、今だったらそ即炎上か??みたいな思考がとめどなく溢れてくるもんです。

果たして人は洗練されているのだろうか?そして平和に、さらに良い人類に進化しているのだろうか?もはやパンクミュージックはいらないほど、皆さん素晴らしい世界に、素晴らしい個人として生きているんだろうか?「昔のパンクとか不良ってただの犯罪者だよね〜」「今だったら特定されて、即人生終了でしょ」で終わってしまう素晴らしい進化された日本国になってるんだろうか?

確かに人類の歴史は遡っていけば、どんどん残虐になる。1900年よりも1800年は確実に残虐で1000年代なんてさらに酷い、洞窟に住んでいた時代は常にサーベルタイガー?とか危ない動物に命を狙われ、農耕がない時代は飢えによる死や、出産でさえ危険な行為、子供は”7つ前は神のうち”と言われ7歳まで育てば御の字だといわれていた。奴隷制度、棄民の様な移民、明確に存在する差別、法律よりも権力、いつ殺されるかわからない権力闘争、暗殺、疑心暗鬼、低い生産性、収穫高。

そんなことを勘案すれば、自分たちの青春時代よりも現代がよりベターな時代になっていてもおかしくない、いやなっていて欲しい。人類が文明進化スピードアップの薬を飲んでいるとすれば(多分飲んでいる)、この10年ですでに昔の100年分は進化しているはずで(どうやってベンチマークするかは難しい)、多分いまの子たちは随分いい環境と優しい環境に包まれて生きているんだろうな。と信じたい。いや、そうじゃないと自分たちが行ってきたことや、こうあれよ!と思って生きてきたことが無駄になる。God bless you, そうであるように。パンクというスタイルでその時代に唾を吐いた分、それが改善されて良き時代になり、もう唾を吐かなくて良くなっていますように。そうでないと、唾を吐いた意味がないからね。