海辺のゲーセンとヤンキー

海辺のゲーセンとヤンキー

子供の頃、家の近くの海岸入り口近くに掘っ立て小屋の様なゲーセンがあった。

小屋の入り口は半分砂地で、なんでここに?という場所にあった気がする。
中は昼間から薄暗くタバコの煙と明滅するゲームの画面の光が作る異次元は、小学校低学年の男子にはとても危険な場所に思えた。今では実際に海のどの場所にあったのかも覚えていないが、とにかく漁師小屋の脇と商店街の間にあるようなイメージだった。商店街や海岸入口は30年前と比べると大きく変わり、牛乳販売店が裏にあったクラウンという名前のスーパーマーケット、小さな寿司屋、駄菓子屋やパン屋もなくなり新しくきれいな町並みに変わっていった。そんな商店街の一番古い記憶がこのゲーセンだ。

海岸を駆けずり回り、自転車で路地を走り回っていた子供時代の一番古い記憶。多分DIgDugとかギャラクシーとかがおいてあった気がする。とても海に近くて浜の匂いがゲーセンの中まで入り込んで来ていた。海辺のキラキラする日差しから一歩中に入ると、目が慣れるのに数秒かかるくらいの薄暗さ、タバコの匂い、突き刺さるような中学生の視線。リーゼントやパンチパーマのお兄さんたち。

光に満ちている外の世界をシャットダウンした薄暗がりと人工の光のイルミネーション。簡易的な都会を田舎の海岸に作り上げた様な場所。ベニヤ板とトタンとアーケードマシーンで作り出した場所。