多摩川を下る 2日目 「川井でのキャンプ生活」

多摩川を下る  2日目  「川井でのキャンプ生活」

川井キャンプ場

昨日の夜遅くまで酒盛りをしていたので、朝起きたら11時を回っていた。
昨日遅くに川井キャンプ場に着き、真っ暗で何もわからぬまま、テントを立て寝ていたのだが、朝起きてテントの外に出ると、目の前の河原は上手い具合に流れが穏やかで水がたまっていて、ちょっとした自然のプールのようになっている。
これはカヌーの練習に好都合だということで、早速遅い朝飯を食べ、初めてのカヌーを川に浮かべてみた。
おおっいきなり進む進む。思ってたよりもずっと簡単。ボートより全然軽快で水の上を滑る感じ、これは面白い。
とにかく今日一日はカヌーになれるための練習をする事にした。

カヌーでの試練!

だが進むだけでは練習にならない、柔道でもスキーでもいえるがまず初心者がはじめに覚えないといけない事、それは受け身の姿勢だ。
カヌーで言えば船がひっくり返ったとき、(カヌー用語ではこれを「沈」という。)どう安全に溺れることなく対処できるかである。これが出来るようにならなければ、いざというとき危ない。
だがこの練習、はたから見てるとけっこう間抜けな練習だ。自分からひっくり返ってずぶ濡れになるのだから。
しかもすぐ近くの川原では春休みの陽気で湧いてきたのかバカな大学生達が昼間っから酒を飲んで山手線ゲームに興じている。おまけにどうせずぶ濡れになるのだからとパンツ一丁で僕は船に乗り込んでいる。
大学生の良い酒のさかなになる事うけ合い、、、なんだかはずかしいなぁ!!しかも雪解け水の水温は低く、心臓麻痺という単語が頭をよぎる。だんだんはじめの鉄のような意志も粘土みたいになってきて、「ねぇ、この練習やめたいんだけど、、、」とh氏に漏らす。
「ここまで来たならやるしかない、がんばるんだ」他人事だと思って無責任な事を言ってくれる。

どうやらこのまま何もせずに陸へあがるのは無理そうだと悟り、観念して体重を傾け転覆しようとするが、、なかなか転覆しない。
どうやらこの船は相当安定しているようだ、おお!いいカヌーだ〜買ってよかった〜、なんて感心するふりをしていても、陸の連中はわかってくれない、
「早くやれ〜!!」
などと期待に目を輝かせて勝手な事を言っている。
この水温の川に飛び込むのはホントに勇気のいる事だ、なかなか心の迷いというか、体が動いてくれないというか、とにかく躊躇してしまう。

もうどうにでもなれ!ドボーン!意外とこれが気持ちいい。冷たい水も浸かってしまうとなんだか超爽快である。
しかも陸に上がるとなんだか体の芯からぽかぽかして暖かく感じる。一度入ってしまえばもうこっちのもの、なんだか楽しくなってきて、2度3度と繰り返し、危うく風邪を引きかけてしまった。
それにしても川井の水、冷たくて気持ちいい、深いところは青緑とでも呼べばいいのだろうか、不思議な色に彩られていて水はとても綺麗である。
だが、朝からいる釣り人達はぜんぜん当たりが来ていないようだ。友人は釣り道具を持ってきたのだが、魚の影を見る事はこのキャンプ場では全くなかった。

あと余談だが、同行の女の子がカヌーに試しに乗ったところ、操縦が出来なくてそのままどんどん流されてしまった。
堰のそばまで進んでしまい、人工の滝になってる堰の放水路に落っこちてしまいそうなところ、h氏が川に飛び込み救出した。

僕も今日初めてカヌーに乗ったのだが、一本のパドルで思い通りにカヌーを動かすのは案外難しい。明日からの川下りが心配になってきた。

夜のバーベキュー

川に面した川井キャンプ場だが、川岸のがけの上にはなんと青梅線の電車が走っていて、駅まである。実は駅前にあるキャンプ場なのだ。ちなみに駅名はまんま川井駅。
夕方になって冷えてきたので、ぼーっとたき火に当たっていると、普段乗っている中央線と同じ電車が山奥を通り過ぎていく、、、なんだか不思議な光景だ。
夜になりその電車に乗って、友人達がバーベキューに駆けつけてくれた。駅前だから、場所も教えやすい。
「ついた?崖の下に火が見えない?そこにいるから」
この日の夜はみんなでたき火を囲んでバーベキュー。
夜になると河原には誰もいなくなり、僕たちの貸し切り河原、大声も出し放題。う〜ん、来て良かった。
何だかこういうところで食べるご飯は、いつもと違う気分になれて、ホントに楽しい。料理の味も煙に巻かれて良くわからないが、何だかとてもおいしい。

 

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