ゼレンスキー「国民の下僕」(Слуга народа)

ゼレンスキー「国民の下僕」(Слуга народа)

https://www.youtube.com/c/sluga95/playlists
https://www.netflix.com/title/80119382

ゼレンスキーを本当の大統領にしたウクライナのTVシリーズ「国民の下僕(Слуга народа)」がYoutubeやNetflixで放映しています。

一介の教師だったヴァシリ・ペトロビッチ(Vasily Petrovych )がひょんなことからウクライナ大統領に選ばれてしまい、腐敗まみれの国を作り変えていく物語です。ウクライナ語は全く分からないですが、楽しく見ています。

自分の友だちや離婚した元妻を閣僚に据え、腐敗した首相や国を支配するオリガルヒと戦い、また身内が大統領になったことで贅沢をしようとする家族とも戦います。

面白いのはやはり日本とのギャップです。賄賂が当たり前の議会や、横領によって橋や道路の建設ができない様は今の日本では中々見られません。ウクライナの自然や町並みは本当に美しく、行ってみたいな〜と思わせますが、議会や行政府の中身はマジで腐っています(笑)!多分これがデフォなんでしょうね、あちらの。なんせ隣の国は不都合なことがあると毒殺が得意技の大統領ですから。多少誇張してあるとしても、このレベルの腐敗は世界標準と思われます(G7加盟国位は一応除きます)

そして最大のポイントは、このヴァシリが今大統領となってロシアと戦っているという現実!!!
(シーズン3の途中で本当に大統領になったので、打ち切りになったそうです)

これはロシアのどんなメディア洗脳やハイブリッドウォー戦略も勝てないでしょう。国民が楽しんで「こんな大統領がいたらいいな〜」と思った人が大統領になり、そして自国を侵略してくる隣国に対抗して戦っているんですよ。

ウクライナの詳細な世論や国民感情は分かりませんが、昨日まで大統領を演じていた人が、本物の大統領になり、国の運命を決める戦いを始めたって、どう考えても熱いし、ウクライナの歴史に残る大きなターニングポイントです。

民主化や政治の清浄化を望む国民がやはり多かったんだと思います。そしてクリミア半島や東部へのロシアの侵略を許せないと思う人が多かった。そしてメディアをプーチンに支配されたロシアと違い、このゼレンスキーのTVシリーズを放映できる自由がウクライナにあった。政治コメディを楽しむ心の余裕がウクライナにはあった。そしてその理想の国や社会を求めて、戦おうと思うガッツがウクライナにはあった、ということだと思います。

素晴らしいです。どんなリアリティ・ショーも敵わない完全なメディアとリアルの融合ではないでしょうか?
ロシアとの紛争はSNSなどのメデイア、そしてフェイクニュースなどハイブリッドウォー的な洗脳の仕掛け合いが大きく取り上げられています。しかし実際ハイブリッドウォー的なメディア戦略の本当の勝者はこの「国民の下僕」で国民に勇気とビジョンを与え、ロシアと本当の戦争を戦う世論を形成できたゼレンスキーとウクライナ国民なのだと思います。