10万円給付から考える日本の移民政策

10万円給付から考える日本の移民政策

今回の10万円給付金を海外在住者に配る、配らないの論議があまりにもアホな議論でいろいろ考えているうちに、これは移民問題と将来的に関わってくる問題ではないのかと思い筆を取りました。

今回の給付についての切り分けで最も核心的にアホ部分は、「日本滞在3ヶ月以上の在留資格の外国人には給付、死刑囚にも給付、海外在住者には配布しない」という部分。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/benefits/

これは住民基本台帳に記載されているか、いないか?が切り分けのポイントになります。海外に転出すると、住民基本台帳には「〇〇国へ転出」と書かれます。この記載が基本台帳に載っていないということになるわけです。

ちょっと待てよ!国籍ってそんなに軽々しいものだっけ?世界中のどの国でもその国の国民になって選挙権を得るのは大変で、カナダみたいに国旗に向かって国歌を歌わないと行けない国とか、アラブの国みたいに百年住んでようが国籍は取れませんって国だってある。たかだか3ヶ月の出稼ぎ労働者か留学生と国籍持ってる日本人を同等、いやそれ以下に見てるってナメきってますな。

噂によると住民基本台帳しか基準にするものがないから、じゃあ載ってる人、載ってない人という事務的な手続きで給付を決めたという話があるが、もしそうであったとしたらそれは許せないことだし、もし背景となる考え方があるのなら教えてほしい。

ここには日本社会が誰を大事にしているか?というもっと重要で奥深い問題があるように思えます。

在留資格を持っている人は選挙権、被選挙権を持っていませんし、来月になれば国に帰るかもしれません。翻って日本国籍を持つ人は、基本的に一つの国籍保持者(二重国籍は原則禁止)で、大半の日本人が生まれも育ちも日本という日本に帰属意識が最も高い人達です。

この辺りの問題は外国人参政権や、蓮舫議員の二重国籍問題、国民保険を外国人が悪用した問題、特別永住者問題などと同じ、日本社会が国籍というものに対してどういう認識を持っているか?の非常に重要な問題で、将来の移民政策とも深く関わってくる事項だと思います。

こう考えることはダイバーシティや多文化、異文化共生を否定するものではありません。誰が日本社会にとって大事で、国益になり、どういった特典を誰に与えるか?という問題です。

一先ず国籍に関連したものをまとめると以下のような感じ。

国籍を取るというのは帰化するという意味で、原則的には日本のみの国籍で、他国の国籍を捨てるということです。日本国民と同じ権利が得られます。対して永住権では選挙、被選挙権はありませんし、重大な犯罪を犯せば強制帰国になります。特別永住権はいわゆる1952年のサンフランシスコ講和条約以前に旧日本領だった国の人のためのもので、世襲制で選挙権はありません。日本国籍(帰化)を取るのはいろいろ大変な手続きがいるようです。

日本は移民(短期滞在、労働者)に対して現時点で様々な権利、義務を与えすぎているという印象があります。日本の基本台帳に載った時点で国保加入、年金支払も義務になっていますが、これは年金など滞在者にとっても面倒な部分があり、選択性にするべきだと思います。憲法、法律云々ではなく、日本に来た人に選択させるべき。選択は当人の自由意志で選ぶわけだから、十分な情報を与えた上で選択させるのが一番問題がない(当人が選んでいるわけだから)。また悪用した場合は犯罪ですから、国外退去という結果が待っています。この辺りの自由な選択はあるが悪用した場合は退去、再入国が出来ないなどの措置が犯罪率を下げるだろうし、また制度を理解もしない人は来なくていいというフィルターにもなるはずです。

日本人は概して「日本人」というのが生まれついてのステータスで、黒髪、黒目でいわゆる日本人以外は日本人ではないという国民感を持っている人が多い気がします。そうではなくて日本国籍を持っている人が日本人だという世論を形成することが、今後アフリカ系日本人、アジア系日本人、ヨーロッパ系日本人などが共存、共栄する国になるためには必要だと思います。そうすればアホな地毛証明書や偏見もなくなるでしょう。

それにはもっとはっきりと国籍保持者、永住者、短期滞在というステータスで人を分けることが大事だと思います。それこそが日本にどれだけ帰属意識を持っているか?どこまでこの国付き合いたいのか?という分けになります。肌の色や、目の色など身体的特徴や思想信条、宗教で分けるのではなく、その人のステータスで分けることが最も平等で、誰もが納得する分け方。またその人自体の日本にいる(住む)目的、理由にも合致したシステムだと思います。

特別永住者という制度は、今後なくすべきだと思います。日本への帰化か、故国への帰国の選択をするべきです。ここでも肝になるのは「選択」です。そもそもこの制度は、サンフランシスコ講和条約後に無国籍になってしまった旧日本領出身者に対する制度が元になっている様です。当時、国籍選択が出来たらよかったのですが。この中途半端なステータスのままではなく、日本にいるなら日本人、帰国するならその国の人になるというのが公平で、逆に在日特権とかいわれずに済む方法だと思います。もちろん長い期間住んでいるわけですから、帰化申請は楽に、しかし日本という国の人になる、民族的な意味ではなく、民族ダイバーシティのある日本の国籍保持者になる。

(2019年6月末時点で317,849人(韓国・朝鮮人 314,146人、中国人 843人、台湾人 1,154人、アメリカ人825人、その他)
https://ja.wikipedia.org/wiki/特別永住者#特別永住者の国籍

今後少子高齢化が進み、縮小する日本は多くの移民(海外からの労働者)が必ず必要になります。また、日本に住みたい、この国で結婚して長期間住みたいという人も多く出てくるでしょう。そういった人たちの多くが納得できる(国際的で先進的な)法制度の整備は必要だと思います。

また多くの人種、宗教、民族が入り交じる未来の社会では、特定の人たちに特別の権利を与えるべきではない。また日本国民になるということが羨ましがられる社会、国家を作るべきで、日本国籍を持つことが他国と比較しても高い信頼性や利便性(ビザ免除、国民保護等)を持つことが重要です。

目の色や肌の色、宗教、思想信条で人を分けることは差別だが、犯罪者は追われ、社会に益する人は歓迎するというのは差別ではない。米国のデモは正しいが、デモに便乗して物を盗むのは犯罪。切り分けする線がずれていると、大きな間違いが起こる気がします。