陰謀論について- Conspiracy theory

陰謀論について- Conspiracy theory

いわゆる陰謀論というやつは、昔から何度も聞いたことがある。それを冗談や楽しみの延長線上で語る人と、ほぼ真顔でいう人と二種類に分かれる。

冗談とかエンタメの延長で語る人は、いわゆる「都市伝説」「信じるか、信じないかはあなた次第」の延長で言っている。このパターンは、陰謀論を楽しみの延長として言っているので、エンタメとして捉えればいい。できれば最初に括弧付きで「陰謀論です。エンタメです」と断っておいて欲しい。安心して楽しめるから。

真顔で語る方は、前回の米選挙のトランプが本当は勝っていた説から始まり、DEEP STATE、世界政府、 New world orderなど、陰謀論と言い切ってしまうと、物凄い非難されそうな程ガチで語り、理論を構築されている方々がいる。

それこそ有名な論客の人から、友達までいろいろな人の話を聞いて最初に気づいたのは自分が知らない、もしくは知識が少ない分野のことを聞いていて陰謀論にする人。例えば国際経済の話、どこかヨーロッパの国の製薬会社の業績、ある地域の経済動向など、そういう話が続いたときに、突然「世界経済はロスチャイルドが全て握ってるんですよね?、だからその会社も多分コントロールされてます」みたいなことを言い出す女の人がいた。そんなに深〜い話ではなく、どちらかというと真面目で実際的な経済のお話し。なんでこんなことを言うのか?ずーっと考えてたんだけど、結論は「難しいことは、誰か悪人(一人の)の性にすると、分かりやすい」です。このパターンは仮面ライダーとショッカーの世界観が分かりやすい。全て世の中の悪の根源は「地獄の軍団ショッカー」が作り出したものとすれば、何も考えなくて済むのだ。

時節柄コロナに関する陰謀論めいたものも多い。科学的データがまだ少なく、全世界で同時多発で起こっていて、政治的な思惑も多数絡んでいる、とあってどこまでが真実か分かりにくい状況だ。「コロナはただの流行性のインフルエンザであって、そこまで恐れる必要はない」「中国が人工的に作ったウイルスだ」等等。ただリアルタイムの経過を見ていると、どうもただのインフルエンザではなく、致死率が高いインド株が出てきて、重症化や死者が多数出ている。この「ただのインフルエンザだ」という論は、大正時代に流行ったスペイン風邪が、現在ではB型インフルエンザとして、ただの季節風邪になっていることから論拠を持って来ているのかもしれない。だけど、それはウイルスが人類史上初めて出てきて、抗体をほぼすべての人が持っていない状態から、抗体を多くの人が持つまでの「期間」が考慮されておらず、現時点はこの抗体を持つ過程にあって、その時期に医療崩壊や死者数が急増しないようにしている訳で、結果「インフルエンザと同じ種類」ではあっても「人類史上、初めて出てきたインフルエンザ株」という言葉が除外されている。特効薬もないしね。

ちょっと脇道逸れましたが、こガチの方の陰謀論の話です。これが難しい。フェイクニュースと呼ばれる様な、国家や団体が特定の意図を持って流すフェイク。トランプの敗北時の情報の錯綜なんかは酷かったね。またロシアや中国のフェイクニュース。日本のメディアだって「角度を付ける」報道とか。朝日新聞の慰安婦捏造事件も記憶に新しい。あれだって、ある種の陰謀論だよね。意図がどこにあるのかは、置いといて。一人のおっさんが書いた本を取り上げて、それを証拠として、みんな大好き「国連人権委員会」の場で報告書まで作り、河野談話まで日本政府が用意しちゃって。韓国政府はこの2つを論拠として、反日活動を未だにされてる訳だから、これこそ現在進行系の陰謀論と言えるかもね。要約すると「B君が給食費を盗みました」と嘘をついてたA君が「嘘でした、ごめんなさい」って言ってるのに、その言葉を証拠にB君が給食費を盗んだと叩き続けるクラスみたいな感じかな。

また脇道に逸れました。ガチの陰謀論を追求されている方がいます。林千勝さんという方で、こういう言い方は失礼かな。でもご本人も「すべて一次資料から取ってきています」と言っているので、多分陰謀論と見なされている感があるということだと思う。いろいろ動画はあるんですが、一つリンク貼っておきます。

この方の研究はコミンテルン(戦前のソ連の国際機関 いわゆる国際共産主義ネットワーク)が戦前の米国や日本にどれだけ影響を与えていたかです。特に近衛文麿周辺の怪しげなネットワークや、陸軍内部まで入り込んでいた共産思想などは、一般に私達が習い持っている戦前の政界や軍部のイメージとは全く違う一面を見せてくれます。爺ちゃんとか、戦前に生きてこの世界知っている人がいたら今のうちに聞いといた方がいいな。

最初、この人の動画を見たとき、直ぐには信じられなかったけど、聞いていけば行くほど綿密な取材と、そして意外とシンプルな当時の時代が見えてきます、難しくないです。習ったことのある事件と事件の新しい関係性や、近衛内閣の人事などちょっと深堀りした内容。林さんの話に出てくる人は不通にWIKIで調べられます。そしてちょっと調べると、林さんのいう通りの動きをしていることもWIKIレベルでわかります。ゾルゲ事件、尾崎秀実も出てきます。確かに当時の帝大も赤い方が多かった、その方々が卒業して官僚になる、そして日米開戦へと。そんな点と点を結びつけていく感覚で納得できます。

林さんのお話を陰謀論という方もいるでしょう。日本陸軍は竹刀と軍刀を持った頭の固い、戦争を間違った方向に導いた集団のままにしておきたい人、東条英機はヒットラーと同じ悪人で、悪の戦争指導者であって欲しい人。そういう戦後の間違った一方通行のイメージを変えてくれます。この方は証拠の多くを一次資料から集めている。だから説得力が違います。そしてちょっと調べるだけで、登場人物が実在し、そういう動きをしていた気配がわかります。戦後教育の、戦前の一方的なイメージ付けも陰謀論と言えるのではないかとさえ思います。

なぜ林千勝さんの例を出したかというと、陰謀論とは現実を覆い隠す、カモフラージュ、嘘で塗り固めるという方向のもの、林さんは陰謀論が現実として認識されたものを剥がそうとしている様に思ったからです。全く逆の行動なわけです。そこが重要な点だと思うし、動機というのは陰謀論を考える時に重要な点だと思います。

どこが「信用のおける新しい学説」と「陰謀論」の境目なのか?は難しいし、感覚としかいいようがない。そもそもその領域のことを考えなければいいのかも知れませんが。しかし陰謀論って結構周辺に沢山あって「南京大虐殺」「慰安婦」だって、中韓の都合が良いように歴史を変えてる陰謀論だし、よくよく考えると隣のおっさんが夜中にうちに向かって歌を歌っているってのも個人的な陰謀論かも、あ、これは被害妄想か!

健康な思考力と、細部とファクトにこだわるしつこさが重要ですね。あと陰謀論者は単純化が好きみたいなので、単純で分かりやすい理論、歴史観って大体嘘だよね。世の中って複雑怪奇だから、そのままにしてあげておいて下さい。単純化しないで下さい。