The Philistines Jr. の新作アルバム「HELP!」がヤバすぎる件
The Philistines Jr.の新作アルバム
なんて言ったって誰もそんバンド知らないとおもうんだけど、素晴らしい兄弟バンドがアメリカにいるんですよ。
あまりにもマイナー過ぎて僕の使ってる音楽アプリでお気に入りに入れてる人はなんとゼロ!
どうやらこのバンドをお気に入りに入れたユーザーは僕が始めてらしい。
その超マイナーバンド、The Philistines Jr.の先月リリースされたアルバム「HELP!」がすごく良かった!!
そもそもThe Philistines Jr.を知ったのは高校生の頃で吉祥寺のディスクユニオンのスタッフおすすめからだった。
で買ったアルバム「The Sinking of the S.S. Danehower」(S.S.デインハワー号の沈没)
がもう素晴らしいアルバムで使ってる楽器が学校の音楽室においてある楽器……
鉄琴やエレクトーン(電子オルガン)、トイピアノを大々的にフューチャーしてて、これらの楽器プラスギターメインのガレージロックでオルガンアンビエントな感じがたまらなくて、
僕は勝手に音楽室ロックと名付け独りほくそ笑んでしょっちゅう聴いていた。
このムーンリバーが最高。
独特の世界観がたまらなくて、手作り感満載のジャケにTarquin(トルコ人)という単語が曲名やら自分達のレーベルやらでやたら連呼してるし、Philistines Jr.つまりペリシテ人の子孫というのもイスラエルの敵やら無教養という意味があり意味深だ。
もしかしたら、メロディや雰囲気は牧歌的な感じだけど物凄い政治的主張をしてるのかもしれない。(誰か歌詞訳して〜!)
でこの前何気なく音楽アプリで検索したらつい先日新作がリリースされたようなので聞いてみた。
正直、2000年代に入ってからもこのバンドは活動を続けていたようだったが、インディーズバンドなのでおそらく、本業や子育てをやりながらの活動だったのだろう、10年に一度ほど出る新作アルバムは正直そこまで本腰を入れてない感がありイマイチだった。
が、2019年の新作は違った!
なんだこの音のふくよかさは、っていうか、めっちゃ色んな種類のシンセとか入ってて、もうこれエレクトロニカじゃん!?
なにこの練り込まれた構成は!!
凄い作り込みようだ…まるで…プロじゃん…(失礼すぎ)
いや、正直ぶったまげました。
僕の勝手な想像だけど、多分年齢的にも、子育てや仕事の方も忙しくなくなり、このアルバム、相当時間をかけ、かなりじっくりと作り込んだのではないかな。
いや、もう、名盤!
若い頃の傑作を凌ぐ、大名盤ですよ。このアルバム、HELP!は。
彼らは25年越しで遂に大傑作をリリースしたのです!いや、これはホントスゴイと思う。
まぁ、僕の好みにヒットしてるだけでかなりストライクゾーンの狭い名盤だとは思うのですが…。
かなりメランコリックで甘ったるい感じだけど好きな人は好きだと思います。
最近毎日聴いてます。沢山聞けば、金銭的余裕がない中活動してる彼ら(勝手な妄想)の元にもいくばくかのお金が入って、そしてまた新作をリリースしてくれる事でしょう。
補足…バンド情報
あまりにも雑なレビューなんで英語サイトを色々調べてみました。
そしたらびっくり !以外な事がわかりました。
グループのメイン、ピーター・カティスはアメリカ音楽界、インディーズシーンの名プロデューサーでした。
・The Philistines Jr.のメンバー
ピーター・カティス(ボーカル、ギター、キーボード)
ターキン・カティス(ベース)
アダム・ピアス(ドラム)
ターキンはメンバーの名前だったようで…でもこれ本名なのかな?
新作はほぼピーターのみで作ってるっぽい。
・来歴
The Philistines Jr.はコネチカット州出身のアメリカのロックバンドで1990年から活動中。
弟のピーターを中心としたカティス兄弟のバンドである。
バンド初期1990年代前半イギリスの有名なラジオDJジョン・ピールに注目され、たびたび曲がオンエアされ、イギリスツアーを行う。
これまでに4つのスタジオアルバムをリリースし、最新アルバムは2019年11月リリースのHELP!である。
ピーター・カティスは実は名プロデューサーだった!!
そして作曲やギター、ボーカル担当のピーター・カティスの本業はレコーディングプロデューサー兼エンジニアで、なんと最近エンジニアリングしたアルバムがグラミー賞を受賞していて結構な有名人でした。
始まりはThe Philistines Jr.のアルバムを作る為に自分で宅録をやりはじめた事がきっかけなのですが、ピーター・カティスはレコーディングの魅力にハマってしまい、1989年にエンジニアスタジオの学校に通い始め、ニューヨークのスタジオに就職し長い間働きます。
ピーターのエンジニアリングは評判となり数多くの依頼があつまり、とうとう1998年ニューヨークの隣のコネチカットに広い自宅を購入しそこをレコーディングスタジオに改造してTarquin Studioを開業しました。
そして物凄い数のインディーロック系のミュージシャンをプロデュースしてレコーディングしているのです。
Death Cab For Cutieやら沢山ありすぎて書ききれないので興味のある方はこちらから
そして2017年にエンジニアリングしたThe NationalのSleep Well Beastが見事グラミー賞でオルタナティブロックのアルバム・オブ・ザ・イヤーに輝いていて、
さらにGang of YouthsのGo Farther in Lightness がARIAミュージックアワードでこちらも2017年にベストアルバムなど4つの賞を受賞しています。
うーん、ここ数年携わったレコーディングがかなり評価されているようですね。
現在53歳。地道に活動してきた成果がようやく花開いた感じですね。
正に今回のアルバムもその勢いが感じられる。
このアルバムは全てアナログテープを使って作られているそうで聴き込むと音がいい具合にサチュレーションしてて、耳触りが良く飽きがこない。
音数も最初は多いように感じたけど、実は一つ一つがぶっとくて豊かで、数的には少なかった。曲の世界感もそうだが独特エンジニアリング!
素晴らしい!!
そしてこのアルバム、HELP!についてですが自身で、
「不安定なこの時代に世界の意味を理解しようとする試み」
と説明しております。
やはり何か意味深ですな。
以上、タマオの新作レビュー&アーティスト紹介でした〜。
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