現実世界の停滞とコンピューターの進歩の転換点とメタバースについて考える
前回からの続き…
また今日も僕は朝から草むしりを続けている…。
手の動くスピードに比例して僕の頭の中もぐるんぐるん活動が活発になってゆく…
ちょっと覗いてみよう。
「今は2022年で僕が子供の頃の80年代からすると完全なる未来世界なんだな」
「空飛ぶクルマが飛び交う世界とか核戦争で滅んで北斗の拳のようになった世界しか想像出来なかったわけで…」
「今2022年に、こうして普通に暮らしているというのがたまに信じられない、というかふわふわした不思議な感覚になるときがあるんだな。」
2022年といっても正直、子供の頃見ていた世界とパッと見あまり変わりばえしない世界だ。
戦争が終わった直後の1945年とその40年後の1985年の日本の景色を見比べるとそれはもう別の国じゃないかというくらい圧倒的に様変わりしているわけだが、
1985年と2025年の景色を見比べた場合、その前の40年に比べればそこまでの大した違いはないだろう…。
これは音楽や映画の世界でも当てはまると思う。
同じ40年でもその密度はえらく違う。
ファッションにしてもアートにしてもここ40年は世界的に見てあまり進歩のない文化の停滞期と言っていいだろう。
まぁその前の戦後からの40年の変化が急進的すぎたのかもしれないが…
ただ一つだけ、この40年で圧倒的に進歩したものがある。
それはコンピューターだ。そこにはもちろんインターネットも含まれる。
だから僕は物心つく85年頃からコンピューターに物凄く興味があったんだろう、と今からすれば思い当たる。その進化するスピード感に心を奪われたのだ。
僕にとって最初に手に入れたコンピューターはその頃の多くの小学生と同じくファミリーコンピューターつまりファミコンだった。
この小さなカセットのなかにどうやってスーパーマリオのあの広大な世界が収められているんだろうと何時までもロムカセットを見つめ不思議に思い、しまいにはカセットを分解し、あらわになったLSI基盤を見つめ、ますますわけがわからなくなった。
僕は絵巻物のようなステージが書かれた絵がグルグルとカセットの中に収納されているものとばかり思っていたのだ。
この目には見えないコンピューターの中の世界は85年頃のカクカクした16色のスーパーマリオから、30年後には総天然色のモニターを内蔵したゴーグルに浮かぶバーチャルリアリティーの中で仮想世界の中に住む美女とデートを楽しむ所まで来てしまった。
考えてみると、人類は誕生してからつい最近まで常に外へ外へと広がろうと志向してきた。
アフリカ大陸を出てユーラシアへ渡ってから、数万年後には南アメリカ南端まで到達し、世界中の陸や島に人類は溢れ、より遠くまで行く船を作り世界の海を制覇し、鉄のレールとコンクリートの道路でもって地上を征服し、あらゆる所に人造物を建て地形を変え人工島を作りその勢いは留まるところを知らず…とうとう宇宙まで到達してしまった。
僕が小さい頃はこの調子で大人になる時代には人類が太陽系を征服してジオン公国が出来ていてもおかしくないと思っていたものだが、人類の進歩は途中から内向きに変わってしまったようだ。
物理的には目に見えないコンピューターやインターネットの中の世界に人類はこのところ夢中になり、インナースペースへと領域を広げている。
そして人々の手の中には真のパーソナルコンピューターというべきスマホがちょこんと収まっている。
それは僕にしても同じで、物心がつくまでは野山を駆け回り裏の林を征服し、物心がついてからはファミコンしばらくしてからパソコンやインターネットに夢中になり、音楽はその間ずっと夢中で、その二つが合わさったコンピューターで音楽を作る事に生きるエネルギーの多くを費やし現実世界で家庭内不和を招き参ってしまっているのが今の僕で…
まぁそれは置いといて、
やはり僕の人生にとっても、インナースペースへと向かう時代の荒波に翻弄されている…と言っても過言ではないだろう。うむ…なんかカッコいいな。。
今から考えてみると、物理的に外へ外へと広がり続けた人類の活動領域が、
スーパーマリオが日本で大ブームを起こし、御巣鷹山に旅客機が墜落し、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故が起きた
「1985年後半から86年あたり」
を境にコンピューターやインターネットの電子信号の中の世界へ…人類の活動がインナースペースへと…収縮して行く一つの転換点だった気がしてならない。
そしてこのままこの方向が続くと、コンピューターネットワークに大脳が神経接続されたメタバース世界へと続く道すじが見えてきてしまう。
そう、試験管の中に浮かんだたくさんのさまよえる脳髄…
脳みそには半永久的に栄養が捕球され、ネットワーク接続されており、一つ一つの脳髄らは人間として人生を謳歌している夢を永遠に見続けている…。
これが今の人類の活動の総意によってもたらされる未来なのだろうか?
これが僕を夢中にさせてきたコンピューターの行き着く先の世界なのだろうか?
そんなの絶対やだ!
こんなはずじゃなかった!!
…
…
……
………
気づいた時には200坪に及ぶ敷地の雑草はキレイに無くなり、
手の動きの止まった僕の頭の中の脳みその回転速度も徐々に弱まり、
それにつれて僕の思考も「今」に引き寄せられていく。
やっと終わった…
ああ…
腹へった。
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