おっさんが10代だった昭和初期と平成を振り返ってみると、案外やばかった

おっさんが10代だった昭和初期と平成を振り返ってみると、案外やばかった

昔々、昭和の終わりか平成のはじめの頃。

その頃は、やたらと酒を飲む人が多く、飲み屋も沢山あり、どんな場所でも繁盛していた。

お酒を買うのも簡単で、その頃少しづつ増え始めたコンビニや酒屋で、10代の少年少女でも簡単にお酒が買えた。煙草も買えた。

友達の家に集まって飲んだり、海岸や公園で酒を飲む中高生は結構普通にいた。15才で家族と酒も飲んでいる、というのもそんなに変わったことではなかった。

ヤンキーっぽい子は16才でスナックで働いていたり、お母さんの店を任されているなんて子もいて、そんなのが普通にいた。もちろん大多数の子は高校に通い、お酒も18才になってからなんて感じだったかもしれないけど、周りには不良っぽい子が多くて、スナックとか飲み屋さんとかに15,6才から出入りしていた。

周りの大人がどんな目で見ていたかっていうのは、わからないが、注意されたことなんてなく、なんとなく「えらく若い子たちが来てるな」位の感じだった。「ママの娘の友達か」位かもしれない。案外棲み分けられてて、隣りに座っててもお互い話が合わなさそうなんで、話さないだけだった。

まあ、よく飲んだ。横須賀の田舎のスナックから、東京の知らない街の居酒屋、野毛の友達の女の子のスナック(16才で店任されてた)、大阪に行けば、危ない兄ちゃんたちが集う真っ暗なバー。材木座海岸、由比ガ浜海岸。宇都宮の渋い居酒屋。いろんな所で飲んでたけど、不思議と喧嘩とか地元の不良と揉めたっていうのはなかった。自分は警戒心が昔から強いのか、危ない感じとかやばい感じを結構察することが出来た。一般サラリーマン家庭の子どもに生まれて、親父が行かなかった様な場所や人と飲むうちに身についた習性かもしれないな。

やっぱり見てるとヤクザっぽい家に生まれた子はバックボーンがあるから突っ走れる。親の生き様もあると思うけど、最終的にけつもちがいるって感じなのかな、わからんけど。それは、他の子達を見ててもそう思った。逆に酒飲みが嫌いで、飲み屋には行かないって子もいたな。それは多分、親父が嫌だったんだろうね。だから、自分は違う様に生きたいってことだったのかも。

うちは親父は辞書の編集者で、学生運動やって大学中退だけど、湘南高校→早稲田だから、一応インテリの部類だと思う。いわゆる戦後サヨク世代でリベラルで、地べたで生きるのがいいと思って、割とそれを実直にやっちゃった人だと思う。だけど、やっぱり本当に世界とか仕事が違う人たちとは交われなかったんだと思う、壁があったし、飲む人たち、付き合う人たちは出版業、ライター、マスコミとかやっぱりそこは昭和の世界で、自分と同じ業界か学歴みたいな壁は確実にあった。

俺等世代はそういう考えはリベラルなんだけど、実際の社会的行動は違うっていう家庭に生まれてるから、本当にやばい奴とでも付き合う。付き合わなきゃいけない、それが家庭の教えっていう感じがあった。区別しゃちゃダメ、同じ人間

だからみたいな。それが行くとこまで行ったのが16、17才の頃で、あんたらが言ってる平等みたいなの推し進めて行った結果、背中刺されました、家庭裁判所や警察に行きますみたいな感じになってきた。流石に自分でこれはやばいし、怖い(ガチで怪我するか、死ぬかも)みたいなところまで行って、やめた。

それでも親はリベラル論調を崩さないわけで、やっぱり親子間っていうのはわかり合えない。10代の頃は一緒に過ごしている時間も少ないし、実際誰とどう付き合っているかってわかり様がないからね。

そんな感じでリベラルが嫌いになっていく。ここが原点かもしれない。リベラル理念と現実がどんどん乖離していく感じ。安全なとこで、大人になっちゃった後で理念振りかざしても、現実は生きにくいだけだよっていうことに気付いちゃった。サヨクはとにかく理念が好きだから。

あの時代はまだまだヤクザが強くて、その予備軍みたいな先輩方や、不良たちが元気な世界だった。でも今考えると、うちの親父も落ちこぼれなんだろうな。大学中退、学生運動で一流企業や、そういうキャリアには乗れなかったんだから。でも、大工さんや建設業、街の商店なんかとは違うっていう空気もあった。そのうちそれが逆転して、街場の自営業の方が稼いでるとか、その前からもあったのかも知れないけど、そういう人たちの方が金稼ぐのは上手い気がする。サラリーマンとか役人は結局システムを自分たちで作るか、寄らば大樹の陰で都会の大企業に就職する。都会にしか住めない、少なくともあの時代は。それか田舎の役所。

日本も大分変わったと思うけど、そんなことを経験してきた世代や、上の世代でもっとそういう色が濃かった時代の人が今社会の上にいるから、そういう常識はまだ強いし、あるね。日本が劇的に変わるってありえるんだろうか。幕末に生きてた人はどんな感じで思ってたんだろう。昨日まで完全に国を治めてた徳川幕府が無くなります、明日から天皇陛下を戴いて新しい政府が出来ますって。そういう変わり方ではないと思うけど、でもそのくらいの変化が日本には必要だし、そうなると思う。