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C.W.ニコル アースデイ インタビュー 未来を見つめる目、過去を切り開いてきた手

C.W.ニコル  アースデイ インタビュー 未来を見つめる目、過去を切り開いてきた手

この記事は2005年、アースデイに参加した、CW.ニコルさんへのインタビューです。
チェインという雑誌で発表する予定でしたが、結局発行されず発表の機会がないままになっていた記事です。
大分時代が経ってしまいましたが、今の時代でも通ずるインタビューだと思いますので掲載させて頂きます。

ーーーー まず、アースデイに何故ニコルさんが参加しようとしたのか?を伺いたいんですが。

ニコルさん 頼まれたからです。すてきな仲間たち、君たちから見ると中年。

ーーーー笑

ニコルさん 最初、僕は人が集まるところが好きでないので、一年やってみたんですが、それから毎年やってしまったんですね。
何故、二回目を納得したかというと、このイベントは、祭りの様なもので、毎年いろいろな人がいろんな考えをもって参加するけど、これまでに嫌な経験がないんです。日本には NPO が多いでしょう。
その NPO 同士が話しあう場所がないんですね。それと、僕自身話すことができなかった NGO、NPO と話ができたんです。
僕が最初に参加したアースデイは,天気があまり良くなかったんだけど、森林の問題や、政府のシンポジウムや、いろいろできたんですよね。
交流、情報の場でもあるしね。

ーーーー NPO、NGO 同士が話しあえる場でもあり、一般のひとが参加しても楽しめるお祭りなんですね。

ニコルさん 若い人、小さい人、お年寄りもいらっしゃってるでしょう。
それがこの5年の間に変わったことですね。

ーーーー 最初は、違いましたか?
ニコルさん 道が、やり方がわかってなかったんですね。とにかく、環境、環境と固い感じだったんです。
今は、自然にやさしく、ふさわしいものであれば、それこそ石鹸でも、ロウソクもあるし、またまじめな NPO もあるといった感じです。

ーーーー 最近の流れで、ごく普通の若い人も自然や、自然環境を考えた生活をする。
そういった流れが社会の中に出来てきたと思うんですが、ニコルさん自身、日本(黒姫)に長い間住まれてきて、日本人の自然環境への考え方などが、変わってきたと思いますか?

ニコルさん う ん。沖縄に行ったらすごい悲しむよ。沖縄の自然は、日本で一番 〜 、ものすごい速さで破壊されているよ。

ーーーー 基地の建設などですか?
ニコルさん 基地の建設ではないです。沖縄市の中に1ヘクタールぐらいの干潟があったんです。
環境庁の役人に連れて行ってもらったんですが、あんなに車が走っている所にあれだけ素晴らしい自然があるとは。
渡り鳥の種類も、豊富だったんです。それを埋め立てたんです。
これは外国では出来ないことです。道を広げようとして、大木をばさばさ切り、山の中の必要のないところで U 字溝を作るとか。
コンクリートをベタベタ貼り付けて、建設業界が沖縄で暴れています。
臭い政治と、建設業界が最後に暴れているところじゃないかな?沖縄は大好きだけど、沖縄に行くと本当に悲しくなる。
日本では、ダムを造る等の大きなプロジェクトは制限されていますが、U 字溝、サブダムなどの小さなプロジェクトはやり放題ですよ。
これだけ杉のことが言われている(花粉症の原因にもなっている、明治からの杉の植林による様々な問題。)のに今でも、東北のほうではブナリの木を植えていますよ。
そういうことをやれば国からお金がもらえるからです。
法律で規制すればいいのに、法律を作るプロセスが遅すぎるんです。
国会は、相変わらずのチャンチャンバラバラしかしていません。
真面目に仕事をしていないです。それから環境庁、林野庁の役人は二年ごとに場所を変えます、二年で国立公園の自然は作れません。責任を取ってないんですよ。

ーーーー 何十年かけて、その森を担当して、育てて行くという役人がいないんですね。

ニコルさん いませんね。それと比べてはいけないが、我々の小さな森の財団はウェールズの森(アファン・アルゴード森林公園)と姉妹森になっているんですね。
ウェールズのほうは国立公園になっていますが、その公園長は、同じ場所で30年同じ仕事をしています。
あと2年位で引退するんですけどね。カナダ、ヨーロッパなどでは、国立公園もそうですが、銀行など普通の仕事でもよっぽど嫌なことがない限り、そこに何十年といられるんです。
場所についても北極、バンクーバーでもどこでも、自分がいたいと思うところにいられるんですね。
日本はそうじゃない、北海道にいた人が2年経つと西表に行くとか。そのシステムがおかしい。

ーーーー その場所が好きな人、その場所に住みたい人が定住して、仕事をしてい
くべきですよね。

ニコルさん そういう場合は公園長まではいくけど、環境大臣にはならないけどね。

現場にいたいう希望、自分のライフスタイル、子供の育つ環境、自分の作り出したプロジェクトを最後まで見たい人がいるんですよ。
自分のプロジェクト、夢を持ちたいなら大企業、政府には入らないほうがいいね。

ーーーー なるほど

ニコルさん でもそうなると、大きなお金、大きなプロジェクトはできませんね。
そのチョイスが難しい。
僕が幸せだったのは、自分で森を作ると決めてから、ずっとそのプロジェクトについています。ただ、小さな森ですけどね。

ーーーー はい
ニコルさん 私は、カナダ環境庁の仕事もしたし、エチオピアで国立公園を作った。

とってもいい経験でした。
大きなプロジェクトのボスであるというのはいいことかもしれないけど、大きな、政治的なプロジェクトになってくると、いろいろな圧力がかかるから自分自身の夢は作れないかもしれない。若い人に、どんどん経験して、自分の欲しい夢、その夢はなんだろうと考えて欲しい。ようは matter of choice。
自分がどの道を行きたいかを迷って迷ってもね、最後にはどの道を行くか決めたほうがいいいんじゃないかと、僕は思うんですよね。
ひょっとしたら、何も決めないということを決めるかもしれないですけどね(笑)

ーーーー(爆笑) ニコルさんは、現在アファンの森の活動をしてらっしゃいます
が、日本に住まれ始めた頃、日本にも自然がたくさんあった。
その後、高度成長、そういう時代になり、自然が破壊されてきた。
しかし、その後自然が日本に戻りつつあると言われていますが、実際はどうなんでしょう?

ニコルさん 大手企業の中で、まだ悪さをしているところもあります。
また、悪いことにお金を出しているところもあります。
ロシアのアムール川の地域の原生林がバサバサ切られているんですが、最初お金を出したのは日本の企業です。
それに、中国の森林伐採。
切っているのは日本人ではないですけど、お金を出しいていますね。
ロシア人、北朝鮮人が入っているという噂です。日本と日本人は憎まれているというのを知らないんですか?

ーーーー 悲しいですね。

ニコルさん ほんとにどうして?と聞くべきですよ。
歴史や、教科書(戦争責任問題や教科書問題)の小さな問題が原因ではないです。
先程、デニス(デニス・ヘイズ氏アースデイ会議議長)が言っていたんですが、中国には金もうけの名人もいますが、貧乏な人との格差がものすごい。
私も先月、中国に行って感じました。北京などはものすごいビルが建っています。ブランドも、車も進出しています。
それでも、母親と小さな子供のホームレスもたくさんいます。本当にこれが中国なのか?と思いました。
儲けるなら何をしてもいいというのは、ないですよね。車、オートバイ、電化製品を売れば、石油、電気をもっとよこせとなりますよ。もしあなたに鉄砲を売ったら、弾を要求するでしょう?
僕は、日本を美しい国にしたいと思っています。
いい自然、水がきれい、空気がきれいで、平和で、治安が良くて、だけどたくまし
い。
そうすると人が集まるんですよ。
僕は中国の人に、何回も言いました。「僕の森に来てくれ、何をしているか見てくれよ」と。

ーーーー 僕もアファンの森にぜひ、行きたいと思っています。森の中は自由に歩けるんですか?

ニコルさん 自由にはできません。
何故かというと、小鳥が巣を作っている、フクロウが子供を育てているし、熊も出ます。
ただ、前もって行ってくれれば案内はしますよ。

ーーーー ニコルさんはビデオメッセージの中で、何かをやめるのも「Action」(2005 年アースデイのキーワード)だと言っていましたが、今本当にやめたほう
がいいということはありますか?

ニコルさん 私は長野の田舎に住んでるんですが、15 年くらい前までは、自分のゴミは自分で燃やして、その熱を使ったほうがいいと思っていたんです。
ダイオキシンのことは知らなかったんです。
プラスチックはもともと石油だから、ボイラーの中で燃やしても一緒じゃないかと単純に思っていたんです。
でも、専門家に「絶対だめだよ。」と言われたその日から、やめました。

ーーーー 最後に僕たちのフリーペーパーの読者、20代、30代の東京で生活し
ている人たちに、メッセージをお願いします。

ニコルさん 興味があるものを、ゆっくり見たらヒントがありますよ。単純なことでいいんですよ。
電気の節約をしたかったらこういうソーラーパネルを家の屋根につけて、一日にどれくらいの電気ができるか計る。
部屋の電気がこれから出来るかな?とか。ちょっと勉強したら頭の中が明るくなりますよ。
ろうそくは安いけど、CO2 が出るし、熱も出るとか、ソーラーパネルは高いしな 、とかわかるんですよ 〜 。

ーーーー やっぱり、知ることが大事なんですね。ありがとうございました。

略歴
C.W.ニコル

1940年、イギリス、サウスウェールズ生まれ。17歳の時カナダに渡り、北極圏の野生生物調査を担当し、それ以降カナダ政府の技官として漁業、クジラなどの調査を担当。その後、エチオピアに国立公園建設のため技術顧問として招かれ、公園長として22名のレンジャーを率いる。1975年には、沖縄海洋博でカナダ館副館長を勤め、1978年からは日本在住。1980年には、長野県の黒姫山のふもとに移り、様々な文化、執筆活動を続けている。長年、
続けてこられた黒姫の森を守る運動「アファンの森」は2002年5月に財団として認可された。

著書
「ティキシィ」、「冒険家の食卓」、「北極探険十二回」、「C・W・ニコルの青春記」 「C・W・ニコルの自然記」 「白い雄鹿」、「北極カラスの物語」、「風を見た少年」(アニメ映画もある!)、「勇魚」、「盟約(上下)」、「遭敵海域」、『特務艦隊』(5/12発売)など著書は100冊近くにもなる

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