映画「万引き家族」の感想

映画「万引き家族」の感想

あ、どうもMr.Patientです。
観てきたんですよ例の「万引き家族」。
あ、最初に言っておきますが、私の映画寸評は「ネタバレ注意」とかの警告ナシに、ヌルっとネタバレします。
ヌルっとね。
もともとリリー・フランキーっていうと、なんかミーハーっぽくて、もう15年くらい避けてたところあるよね。
僕もそのタイプなんだけど、先日「お父さんと伊藤さん」をアマゾンプライムで何気なく観た。
そしたら、なんか他のも観てみたくなったんだよね。
それで、やっぱいいなぁフランキー。と、もうイッパシのフランキスト気取りです。
(フランキストの意味違うw)
http://father-mrito-movie.com/
↑これね。伊藤さん。

そのあと、「ぐるりのこと」を観てみた。
http://bitters.co.jp/gururi/intro/
↑これね。ぐるりね。

って流れで、仕事帰りにレイトショーで池袋サンシャインシネマに寄って観てみた。
いやぁ、なんつーか。要所要所で泣いてましたね。ぼかぁ。
ケイト・ブランシェットが絶賛してたっていうシーンがあるんだけど、まぁそこも泣いてましたね。ぼかぁ。

キャストが良かったですね。
安藤サクラって人のことあんま詳しく知らなかったんだけど、まぁ天才ですね。
なんたって、奥田瑛二と安藤和津の娘で、芸能一家に生まれた人だけに、サラブレットの苦悩を喰らいまくった人ですよ。
まぁ、天才です。
その流れで帰宅後に「百円の恋」を観たんです。安藤サクラ主演の。
https://www.toei-video.co.jp/special/100yen-koi/
↑これね。百円のね。
(これもメチャクチャ良かった。横にいる女房の目を盗んで、ちょいちょい泣いてましたよ。ぼかぁ。)

まぁしかしね。
「万引き家族」。いちいち僕のツボをぐっ、ぐっ、っと押してくるんですよ。
風俗嬢のピュアさとか、ダセえけど、人混みの中の孤独とか、あと、やっぱ子供ね。
子供には弱いよ。ぼかぁ。
あたりまえに樹木希林も天才だし、音楽も樹木希林みたいな顔した細野晴臣がやってるし、いちいち良かったよ。

最初はフランキーの役作りが、なんか田中邦衛に寄せてる感じがあって、
「あれ?フランクさん、今回そっちから来た?」って、ちょっとアレ?って感があったけど、
結果、それで良かった。

要するにね、全員家族じゃないんですよ。
でもね。幸せが凄いんですよ。
なんたって、情のもつれで旦那を刺し殺した女とその愛人。
松戸のパチンコ屋で車上に置き去りにされてた男の子。
親の敷いたレールが嫌で家出した女の子。
DV野郎とその妻に虐待されている女児。
そんな人たちが、その昔、夫に捨てられて今は年金生活のバァちゃんちに転がり込んで暮らしてるんですよ。
よく孤独に耐えかねて野良猫を見つけては拾ってくるバァちゃんいるけど、それの猫が人間だった版ですよ。

そんな集団を、社会は「家族」としてはくれないわけですよね。
義務教育受けてない子供は、施設に行くわけですよね。
そういうその、そういうところのアレなんですよね。
彼らは本当の親と居るよりも、ここでの暮らしのほうが幸せなんです。

あと、安藤サクラが良すぎます。
こんなイイ女他にいるか?ってくらい、まぁやべえですよ。
南千住あたりが舞台で、ススけたボロ家と鉄筋マンションのコントラストというか、
汚い東京の片隅って感じね。

僕は邦画特有の、このススけた感じ。これ大好きなんですよね。
なんというか、拝島って感じの。

そういえば今日、朝の通勤ラッシュの中、赤ちゃんをだっこひもで抱えたお母さんが乗ってきて、
僕はドアの横のあのスペースによっかかってたんで、そのお母さんに場所を譲りたかったんだけど、
怒涛のように押し寄せる乗車客の勢いに、それもままならず、「ああ…」と思ってたら、
そのお母さんは僕の斜め横にセットされた。
赤ちゃんのぷくぷくの足に、僕のバッグの角があたりそうだったから、
ぎりぎりのタイミングでどうにかバッグを肩から降ろして足元に収めた。
しかしあとからグイグイと人を押しのけて乗り込んできたババアのカバンが振り子の原理で勢いをつけて、
赤ちゃんの背中めがけて楕円を描いた。
僕はとっさに右手でガードした。ババアは怪訝な顔して僕を睨むのだが、
すぐに自分の背後に赤ちゃんが居ることを悟り、「あら、まぁかわいいわねー」などといいながら、
少しバツが悪かったのか、おりこうさんねーみたいなことを言って、
こんな混んでる中、スマホではなく、でけえパッドをいじり出した。
そのパッドの角はちょいちょい僕の肋骨を突き刺すのだが、まぁそれはいい許す。ババアなんてそんなもんだ。
問題は、このババアのカバンだ。
ババアはパッドに夢中で、硬い革製のカバンを脇から背中に寄せているのだが、
これが電車が揺れるたびに、赤ちゃんの背中にあたりそうになる。

よくある光景ではあるが、僕はなんでかわからないけど、こういう場面にほんとに凹む。
特に満員電車の中で、ストレスフルなオッサンとか、
自分のことしか考えたことが無いような若造とかがひしめくあの空間の中で、
乳幼児や小さな子どもが泣いてたりすると、もう、ほんとに胸が張り裂けそうになる。
なんでかわからないけど。
それを、いい年した、分別あって然るべきオッサンが、迷惑そうにしてる場面とか、
もう、ほんとに悲しくなる。
なんでかわからないけど。前世でなんかあったんじゃないかってくらい。
僕は無表情のまま、ポーカーフェイスを通すわけだが、泣きたくなってくることもある。

その気持になる映画でしたね。
あの、是非観てください。「万引き家族」。